研究課題
若手研究(B)
電力機器設備で絶縁劣化の予兆現象として生じる微弱放電をレーザ回折法により検出し、電力機器設備の絶縁劣化診断が可能な技術の開発を行った。本提案手法では、微弱放電による低周波超音波がレーザ光を横断する際に、その領域内の屈折率変化に対応して生じる回折波を検出する。平成16年度までに、水中で生させた80〜200kHzの超音波による回折波の検出に成功するとともに、増幅器とフィルタの併用により、検出下限を改善できることを明らかにした。また、回折波を光ファイバで伝送できることを明らかにしたうえで、光ファイバ自体が検出器として動作する光ファイバセンサの開発を行った。ここでは、光ファイバ近傍に超音波発振源を配置し、光ファイバに加わる音圧の変化で誘起された屈折率変化を回折波として検出できるか調べた。光源には波長632nmのHe-Neレーザを用い、光ファイバにはコア径10μm、クラッド径125μmのステップインデックス型を用いた。100kHz、200kHzの水中超音波は圧電型振動子で発生させた。その結果、発振超音波の周期と等しい周期性の光信号を測定できることが示された。また、空間分布や超音波強度の変化に対する光強度の変化を測定し、それらが回折光強度の理論的予測値と良く一致することを明らかにした。上記の結果を踏まえて、17年度においては、超音波検出用光ファイバセンサの感度や検出下限値を明らかにした。その結果、作製した光ファイバセンサは、72-106dB(relative to 1μPa)の音圧範囲で音圧に比例した信号を観測できることを明らかにした。しかし、得られた音圧感度は、圧電素子を用いた超音波計測法(AE法)で得られている値に比べて低い。機器外部からの測定を行うためには、今後、更なる改良・改善(光ファイバセンサの感度の向上)が必要であり、光ファイバの材質や構成自体から改良する必要性が示された。
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IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control 53・4
ページ: 761-767