研究概要 |
平成16年度における研究成果は,主に,次に述べる3点について得られた. 1.GWMフィルタの基礎的検討の推進 2.DSPボードによるGWMフィルタの実時間処理の実現 3.GWMフィルタを援用した雑音にロバストな領域分割手法の実現 1.では,特にフィルタ荷重の設計に確率的探索手法を援用し,フィルタ荷重の準最適解の探索に関する手法を提案し,その有効性を検証した. 2.では,テキサスインスツルメンツ社製TMS320DM642と呼ばれるDSP評価ボード上に,GWMフィルタを実装し,動画像のビデオ信号を入力させ,実時間でフィルタ処理を実現する研究を行った.最終的な目標である実時間リアルタイム処理は実現できなかったものの,DSPチップのハードウェアとそのアーキテクチャから生じる特性を十分に組み入れたアルゴリズムとソフトウェア開発を行い,工夫のない通常のソフトウェアによるDSP実現と比べ,40%以下の処理時間を実現した. 3.では,雑音により劣化した状況下においても適切に処理ができるように,GWMフィルタにより実現されたハイパスフィルタを用いたエッジ抽出処理とWatershed処理を組み合わせた領域分割手法の検討を行った.これにより,条件の厳しい撮影環境において得られた画像に対しても安定した領域分割が実現された.応用例として,撮影したカラー画像に対して,提案手法により領域分割を行い,色覚障害者向けのカラー画像処理に利用し,本手法の有効性を確認した.
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