研究概要 |
本研究では,時間相関イメージセンサを用いることにより光の波面計測を実時間で実現することを目的とする.特に3つの参照信号入力端子を有する三相時間相関イメージセンサ(3PCIS)を用いることにより,ヘテロダイン干渉波面の振幅・位相分布がイメージセンサのフレームレートで実時間復調可能な点に特色がある.昨年までにヘテロダイン干渉波面を実時間で復調する画像センシングシステムを構築し,ナノスケールの微小変位パターン計測や,アクリル板・シリコーンオイル等の屈折率分布計測に応用することにより,システムの性能評価を行ってきた.これを踏まえた本年度の成果は以下の通りである. 1.実時間ヘテロダイン検出複屈折イメージャの構築 複屈折性試料の進相軸方位および位相差の分布を実時間で画像として計測するシステムを提案し,理論およびシステムの構築を行った.直交偏光の2周波レーザビームを光源とし,複屈折性試料を1/4波長板で挟む共通光路型偏光干渉光学系を構築した.光学系を通過するレーザビームにより生成されるヘテロダイン干渉波面を3PCISで復調することにより,試料の進相軸方位と位相差の2次元分布がそれぞれ復調画像の位相成分および振幅成分からフレームレートで得られる.Babinet-Soleil補償板を用いて精度評価を行い,OHPシートや液晶の複屈折分布の可視化に応用した. 2.時間相関イメージセンサの周波数特性の補償 実時間ヘデロダイン復調画像センシングシステムでは,3PCISの周波数特性のためにヘテロダイン干渉波面の振幅・位相情報が正しく復調できない問題がある.これを解決するため,3PCISの画素回路モデルに基づき周波数特性を定式化し,その補正法を提案した,実際のセンサカメラに対して周波数特性を計測し,抽出した特性パラメータを用いて実画像出力の補正を行った.
|