研究概要 |
モデル駆動型適応制御系に関して,以下のような多彩な結果を得た. 1.Just-In-Time手法に基づく非線形システムの同定と制御に関する研究 「Just-In-Time(JIT)モデル」というこれまでとは全く異なるモデリングの考え方を提案した.JITモデリングの方法論が実システムの制御に適用可能であるかどうかを検証し,「JIT制御」の基本的な枠組みを構築することを目指した.また,実用面を見据えたプロセス制御等への応用が可能であり,産業技術の分野に大きなインパクトを与えつつある(プロセス制御に関する特集号への解説記事を執筆済みである.) 2.人の静止直立の運動メカニズムの解明に関する研究 高度で正確な運動を達成する制御系としての人間の機能に着目し,人の静止直立時のバランス制御のメカニズムを,生理学の知見に基づいて制御理論的な観点から解明する研究を行った.静止直立は,複数の感覚器からの情報が複雑に絡み合う複雑な構造をもっていることを明らかにした。提案したモデルは,切り替え機構をもつ適応制御系であり,モデル駆動型適応制御系のひとつである. 3.視覚機能をもつヒューマノイドロボットの注視制御と動作安定化制御に関する研究 人型二足ロボット研究が実験室の環境内で閉じてしまっている状況で,なぜ人間は突発的な外乱や大きな環境変化に対しても柔軟かつ滑らかな運動を行うことが出来るのか?というロボット制御の本質的な問題を扱った.視覚の重要性を指摘し,視覚情報を用いたロボット動作の安定化問題に対して2自由度適応制御系を構成した.シミュレータおよび実機による実験により,その有効性を確認した.
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