配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
前年度に引き続き,受動性を保存する離散化法において鍵となる1サンプル周期予測の効果的な方法について考察し,以下の2つの結果を得た. 第一に,区間解析を使った1サンプル周期予測の方法を発展させた.すなわち,繰り返し計算のたびに誤差が累積するというラッピングエフェクトの影響を低減するため,1回の繰り返しごとに得られる区間に合わせて座標変換することを試みた.さらにこの方法を連続時間の非線形システムに適用し,一定時間後の状態を厳密に包含する区間を求められることを確認した.この結果は,本研究課題のみならず,制約つき制御への応用も期待できるものである. 第二に,オフライン計算による1サンプル周期予測の方法を開発した.これまでに検討した予測法は,シンプレクティック法にせよ,区間解析にせよ,計算に時間がかかり,実時間性が重視される制御系との整合性が良くない.そこでこの問題を回避するために,制御系を実際に動作させる前にオフラインで計算を行なっておき,制御系を動作させるときには計算の結果のみを使うことを考えた.特に制約つき線形システムの場合,このようなオフライン計算はパラメトリック2次計画問題として定式化できる.本研究ではパラメトリック2次計画問題の解が,集合束に関係した特殊なグラフ構造を持つことを示し,それを利用することで効率的な計算が可能であることを示した.この結果は,ロバスト数値計算の新しい方法論と解釈することもできる. 以上の研究により,受動性を保存する離散化法の基本方針を提示し,デジタル非線形制御に適用する際の困難を明確化するとともに,困難を解決するための方法の基盤を築くことができたものと考える.
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