研究概要 |
本研究では,再生細骨材や軽量細骨材の品質に着目し,それを用いたコンクリートの性状との関係を調べた.使用する再生骨材には,建築構造物の解体がらから製造またはプラントで作製された,実際に近い再生細・粗骨材を準備し,研究を行った. 本年度は,再生骨材だけでなく,軽量骨材も含めたコンクリートの強度,乾燥収縮ひずみおよび中性化深さについて検討した.その結果,骨材の種類に関係なく,骨材の全吸水量を考慮したC/TWと強度,乾燥収縮ひずみおよび中性化深さとの相関が高いことがわかった.その原因を推定すべく,水銀圧入法によりモルタル中の細孔構造を調べた結果,細骨材中の水分がセメントペースト部分の細孔構造に影響を及ぼしている可能性があることがわかった.これは,C/TWが同じであれば,コンクリート中の細孔構造が同じとなるため,結果として強度,乾燥収縮性状および中性化深さが同程度となることを意味する.よって,コンクリートの上記の性状を予測する指標としてC/TWを使用できることがわかった.さらに,C/TWを同じとすれば,骨材の種類にかかわらず,同じ強度,耐久性を持つコンクリートを作製可能であることを意味する. さらにC/TWの適用範囲を検討するべく,W/C=25%,35%の高強度・高流動コンクリートに高吸水率骨材を適用した場合の硬化後の性状について調べた結果,先の結果と同様に,強度,乾燥収縮性状とC/TWとの相関がみられた.また,C/TW=2以上になると,本研究での試験条件での中性化深さは0mmとなった.このことから,W/C=25%〜60%の範囲で,C/TWが適用可能であることがわかった. 以上より,高吸水率骨材を用いたコンクリートのフレッシュ性状と硬化後の性状を予測する指標と,その調整方法について明らかにできた.
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