研究概要 |
本研究では,塗装などの処理を施した鋼構造部材に腐食損傷が発生した場合,その表面に何らかの変状が現れることを利用し,鋼構造部材の母材表面に発生した腐食損傷を複数のデジタルカメラから得られる画像により検出するシステムを構築し,その検出結果と実際に鋼構造部材の母材部分に発生している損傷との相関を明らかにすることを目的とした研究を推進してきた. 昨年度は画像処理システムの構築と塗膜の表面変形と腐食量の関係を明確にするための研究を進める為,デジタルカメラ3台を用いて画像から部材表面の凹凸検出を行うためのシステム構築を試みた.しかしながら,昨年度にも報告したようにこのシステムの開発は困難を極めたため,本年度はこの開発を一時中断し,他の方法により鋼材表面の状況と鋼部材の疲労耐久性の関係を明らかにすることを考え,鋼部材に荷重が作用したときに発生する変形に着目し,鋼部材の疲労耐久性を評価することを考えた.そこで,本年度は腐食した鋼部材の表面にマーキングを施した試験片を用意し,デジタルカメラによる変形の追跡がどの程度可能なのかを確認するための試験を実施した.この試験の結果,デジタルカメラによる変形の把握は画像取得の際の条件設定によっては適切にできる可能性が高いことを確認し,また,腐食鋼板の腐食量と変形性情の間にこれまで確認できていなかった関係が存在していることが判明した.
|