研究概要 |
本年度上半期においては,昨年度の研究に基づいて定式化した事業所ネットワークの逆推定手法に基づくシミュレーション分析を行った.事業所ネットワークの逆推定手法は,支社機能に対応する最適事業所ネットワークの算出モデルと,通信と交通の分担を考慮した地域間情報交流モデルを交互に算出,および推計することにより,観測される地域間情報交流量に最もフィットするような複数の事業所ネットワークを抽出する方法をとった.開発したモデルを1990年と2000年のデータ(業務交通と通信の情報交流量データ)に適用してパラメータを推計した上で,地域間情報交流コストの変化に対する事業所ネットワーク,および地域間情報交流量の変化について,感度分析を行った.以上の分析の成果は土木学会論文集に投稿した.また,開発したモデルを地域間業務管轄/被管轄データと地域間業務交通量データに適用できるように改良を加えて実証分析を行った結果は,土木計画学研究・論文集に投稿した. 本年度下半期においては,昨年から本年度上半期までの研究において明らかになった問題点のうち,地域間交流コストに関するデータベースの整備と最適業務ネットワークの算出モデルの精緻化に取り組んだ.前者については,時刻表に基づくミクロなネットワークデータの作成と,これを処理できるアルゴリズムの開発によって対処した.後者については,上半期までに開発した最適業務ネットワークは情報交流量と支社規模の関係が明示されていなかった点に改良を加えたものである.これらの点に改良を加えたモデルに基づく成果は,現在投稿準備中である.
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