研究課題/領域番号 |
15760404
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
土木環境システム
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木村 克輝 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10292054)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 医薬品 / MBR / 下水処理 / EDC / PhAC / NF膜 / RO膜 / 分子量 / 極性 |
研究概要 |
本年度は、膜分離活性汚泥法(Membrane bioreactor, MBR)による医薬品由来化合物(PhACs)除去性の検討を行った。MBRは膜を用いた次世代の下水処理技術として注目されている技術であるが、PhACsのMBRによる除去性に関する検討例は現時点でほとんど存在していない。実験は、実都市下水処理場に設置したパイロットスケールのMBRを用いて行った。標準活性汚泥法を採用している実都市下水処理場最終沈殿池流出水中のPhACs濃度とMBR処理水中のPhACs濃度を比較することにより、MBRのPhACs除去性について評価した。検討の対象としたPhACsのうち、clofibric acid、ibuprofen、ketoprofen、naproxen、fenoprofen、mefenamic acid、diclofenac、primidone、carbamazepineの9種類のPhACsが流入下水から検出された。今回検討の対象としたPhACsは、各処理プロセスにおける除去性によって3つのグループに分けることができた。ibuprofenはMBRと活性汚泥法の両方において良好に除去されていたが、diclofenacはどちらの処理法によっても顕著な除去は観察されなかった。また、ketoprofen、mefenamic acid、naproxen、fenoprofen、clofibric acidは活性汚泥法よりもMBRにおいて効果的に除去されていた。これらのPhACs除去性とPhACsの構造との関連性に着目すると、PhACsの構造に含まれるベンゼン環数が除去性に大きな影響を及ぼしているようであった。構造中のベンゼン環数が1つのibuprofenについては、MBRと活性汚泥法は同程度の除去性を示したが、ベンゼン環数が2つのketoprofen、mefenamic acid、naproxen、fenoprofenについては活性汚泥法よりもMBRにおいて良好な除去が達成された。ベンゼン環とハロゲン基をそれぞれ2つ有するdiclofenacはMBR/活性汚泥法の双方において顕著な除去は観察されなかった。PhACsの構造中にベンゼン環やハロゲン基が多く存在する物質ほど生物処理による除去が困難になるものと推測される。MBR/活性汚泥法間におけるPhACs除去性の差異は、両プロセスにおけるSRTの長短によるものであったと考えられる。MBRではSRTを極めて長く設定できるため、増殖速度の遅い微生物種が増殖できることに加え、元々存在していた微生物がPhACsに対して代謝活性を獲得する可能性がある。
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