研究概要 |
本研究では,軸力と曲げモーメント,即ち偏心荷重を受ける杭支持独立フーチングの破壊性状及び耐力を明らかにすることを目的として,実物の約1/2の模型による破壊実験を行った。 実験試験体の形状は,柱,フーチングともに平面が正方形の軸対称な柱付き4本杭支持独立フーチングである。本実験で考慮した変数は,スラブ厚,柱幅及び柱頂部に作用させる鉛直荷重の作用位置であり,試験体数は全部で16体である。また,試験体は偏心の無い場合に,曲げ破壊が先行するように設計した。 本研究から得られた概要を以下に記す。 1.フーチングの最終破壊面は,荷重偏心の有無に拘らず,建築学会の鉄筋コンクリート構造計算規準に示される柱表面を通る断面とは必ずしも一致していないことが確認された。 2.偏心が無いあるいは偏心距離が短い場合,荷重とフーチング底面中央点のたわみの関係には明瞭な曲げ降伏点が確認された。また,降伏後,最大荷重に達するまでのたわみの増加量も大きい。 3.偏心距離が長い場合には,上記の関係について曲げ降伏後,最大荷重に達するまでのたわみの増加量は小さく,フーチングのプロポーションによっては曲げ降伏前にせん断破壊したものもある。 4.偏心距離が長くなると曲げ耐力は小さくなる傾向があるが,両者の間に比例関係は見られず,ある偏心距離を境に耐力が低下した。 5.建築学会の鉄筋コンクリート構造計算規準に準じて求めた曲げ耐力計算値は,実験値を過大評価する場合がある。
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