研究概要 |
本研究は小規模な低・未利用空地に着目して地区防災まちづくり計画の評価手法を検討するものである.今年度は(1)建物周りの小規模空地を隣棟間隔と接続関係から有効空地と狭小空地に区分するアルゴリズムの開発,(2)葛飾区の密集市街地を対象に,1993年4月から2004年12月までの建築確認申請概要データを基にした市街地更新データベースの作成,(3)防災まちづくり事業および計画的介入方策の小規模空地量変化という視点からのモデル的検討,を実施した.これらは全体として,地区防災まちづくりにおいて地域住民の意識を啓発するために必要な,平均値的市街地評価から空間構造を詳細に評価する技術へ,という視点からの研究である. 有効空地と狭小空地に区分するアルゴリズムは,これまで課題とされてきた建物間の狭小なすきまと相対的にみてまとまった空地を区分する方法についての定量化方法を確立したものである.日本都市計画学会にて2004年11月に論文発表を行った. 建築確認データによる市街地更新データベースの作成は,都市計画基礎調査データに築年数と構造の情報を付加するものである.今年度は葛飾区と協定を結んだ上でデータ収集し,基礎的なデータベース構築した. (3)は,たとえば細街路拡幅や小公園整備といった地区レベルの防災まちづくり事業,ならびに敷地規制などの計画的介入方策を小規模空地変化という視点から検討したものである.検討に際しては,防災まちづくり事業地区である葛飾区四つ木地区にで,地元まちづくり協議会に出席する中で進めた.(1)の小規模空地区分アルゴリズムは,容積率・木防率といった指標に加えて,道路・空地・小河川といった都市施設や建物の配置構成を改善したときの機能評価を意図したものであり,このアルゴリズムを用いた,防災まちづくり計画案の評価方法について基礎的検討を行った.
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