研究課題/領域番号 |
15760472
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
建築史・意匠
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
菅野 裕子 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (40262414)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 建築史 / イタリア / 16世紀 / 単位 / 建築理論書 / モドゥルス / タクトゥス / モードゥロ / 音楽 / ルネサンス / ヴィニョーラ / ディルータ |
研究概要 |
本年度はイタリア16世紀の建築理論書と音楽理論書にみられたモドゥルスとタクトゥスという単位を考察することによって、建築と音楽における抽象的な空間概念と時間概念の形成過程を考察することを目的とし研究を進めた。 ヴィニョーラやディルータにおいては、それぞれの長さは単に計算の結果としてのみ存在し、対等な重要さを持つ独立した数値として存在している。そこでは、「(モドゥルスあるいはタクトゥスのような)具体的な部分ではない長さ単位」によって、「量を乗法によって示す形式」が必要だった。一方、本年度は以下のことを明らかにした。 建築と音楽においてモドゥルスやタクトゥスといった単位を用いられない箇所では、具体的な部位そのものの大きさとの直接的な相互関係によって、他の部位の大きさを表していたが、そこにも乗法、つまり単位を用いた場合と同じ形式が見られた。また、そこで対象となっていた量はモドゥルスやタクトゥスと名付けられてはいなかったものの、ある「大きさ」のみを示す大きさ概念だった。 つまり、ヴィニョーラやディルータのような形式で量を数値化するための条件はすでに他の著者にもみられており.建築の形を描写する文脈、あるいは音価の関係を説明する文脈の中に断片的に存在していた。そこでは除法と乗法のどちらもが、あたかも同一の形式の一側面であるかのように混在していた。また、乗法によって一部の量は数値化されていたが、それはその文脈の中でしか意味を持ち得ない。そこでは量は相互の関係の中でしか規定し得なかったのであり、その状態においては「量」とは独立せずに、全体とのあるいは周囲との関係の中にこそ存在していた。
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