研究概要 |
Mg-Zn-RE(希土類元素)合金に生成する長周期構造を強化因子としたマグネシウム合金の開発を行い、組織と機械的特性を評価した。その結果、非平衡物質であると考えられていた長周期構造は、Mg-Zn-RE(RE=Y,Dy,Gd,Ho,Er)に平衡相として生成する安定相であり、6周期ごとにZnとRE元素が規則配列した18R-typeの構造である事が明らかとなった。また、この長周期構造は高温と低温域において周期が異なり、高温域では18R-type、低温域では14H-typeへと相変態した。これらの長周期構造はMgが80at%以上の組成を有し、Mg_<97>Zn_1Y_2(at%)合金において面積率で25%程度生成し、硬さは85HV程度である事から、比強度を重視するマグネシウム合金の高強度化に寄与する相である。18R-typeの長周期構造はMg_<85>Zn_6Y_9(at%)合金において、ほぼ単相として存在するMg_<12>ZnY相(τ_1相)であると言える。鋳造法により作製したMg_<97>Zn_1Y_2(at%)合金について830Kでの圧延加工により、動的再結晶によるMg粒の微細化が可能であり、さらに熱処理を施す事でMg粒内への長周期相の分散が可能である事が示唆された。830K圧延材について引張試験を行った結果、0.2%耐力(σ0.2)は102MPa、引張強度(σB)は200MPaであり、伸び(δ)は9%であった。試験温度の上昇とともに強度は低下し、473Kにてσ0.2は73MPa、σBは139MPaであり、δは25%を示した。さらに、長周期相を生成しない希土類元素のCeと長周期相を生成するYをともに加えたMg-Zn-Ce-Y合金では、溶体化処理によりMg-Zn-Y相の固溶が確認され、473Kでの時効により析出硬化現象が観察され、Mg-Zn-Ce相の分散強化と共にMg粒内が析出強化された合金の開発にも成功した。
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