研究課題/領域番号 |
15760528
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
高井 健一 上智大学, 理工学部, 助教授 (50317509)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 水素 / 燃料電池 / 水素脆化 / 破壊 / 昇温脱離法 / 拡散係数 / トラップサイト / ステンレス鋼 / 活性化エネルギー / 環境脆化 |
研究概要 |
燃料電池システムの使用条件を想定した高圧水素環境下での各種材料において、水素による環境脆化特性評価と水素との物理化学減少解明を明らかにすることを目的とし検討した結果、以下の知見が得られた。 1.金属・イオン・共有結合性材料の水素による環境脆化特性評価 結晶質のイオン・共有結合材料は、室温において水素の影響を受けず、水素脆化しない。一方、非晶質のイオン・共有結合材料(例えば、石英ガラス)は、室温において水素の影響を受け、水素脆化する。また、金属結合の材料において、FCC結晶構造の金属材料は水素拡散係数が低く、比較的水素感受性が低い。さらに、FCC金属材料の中でも、Ni基超合金(Alloy625)より安定オーステナイト系ステンレス鋼(SUS316L)の方の水素脆化感受性が低い。 2.各材料と水素の物理化学現象(拡散係数、結合エネルギー、トラップサイト等)の解明 上記、2種類のFCC金属を比較すると、SUS316Lの水素拡散係数は、Alloy625に比べ一桁近く小さい。これが、水素脆化感受性にも影響を及ぼしたと考えられる。また、昇温脱離法で水素の存在状態を解析すると、いずれの試料においても、塑性変形量の増加とともに200℃以下で放出する水素量が増すことから、この温度域で放出される水素は、主に転位、原子空孔等の格子欠陥起因のトラップサイトにトラップされていた水素である。なお、水素トラップの活性化エネルギーを実験により求めたが、ほぼ47kJ/molの値であり、水素拡散の活性化エネルギーの値とよく一致する。これは、FCC金属中の水素拡散が非常に遅いため、トラップからの水素の脱離律速でなく、FCC正規格子中の水素拡散が律速しているため、47kJ/molという水素拡散の活性化エネルギーの値になったと推察される。
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