研究課題/領域番号 |
15760545
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
廣本 祥子 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター, 主任研究員 (00343880)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 生体用金属材料 / 細胞-材料界面 / pH測定 / 針電極 / 腐食 / 電気化学的特性 / 生体内腐食因子 / コラーゲン |
研究概要 |
生体用金属材料である純Tiおよび316Lステンレス鋼表面で培養した線維芽細胞L929近傍のpHを、タングステン製針電極を用いて直接測定した。オートクレーブ滅菌した316L鋼および純Tiディスクを、ポリスチレン製細胞培養皿の底面に開けた穴を外側から塞ぐように接着固定した。試料を固定した培養皿内部は紫外線照射滅菌した。各試料につき培養皿を3皿ずつ用意した。マウス線維芽細胞L929を播種し、培養液を加えた。7日間培養後、L929細胞は培養皿底面を一様に覆っていた。コントロールとして培養液のみ加えた試料固定培養皿を用意した。 培養皿を実体顕微鏡下に設置し、周囲の温度を37℃に、ガス雰囲気を5% CO_2にした。先端の直径3μm、長さ5μmを露出させた針電極の先端を、細胞接着層近傍および培養皿底面から2mm上の培養液中(細胞接着層外側)に固定し、開回路電位(OCP)を測定した。測定は金属試料およびその周囲のポリスチレン底面上で行った。OCPからpHへの換算は、pH-OCP検量線およびガラス電極pHメーターで測定した培養液のpHをもとに行った。 金属試料表面の細胞接着層近傍のpHは外側のpH7.8よりも低かった。316L鋼表面の細胞接着層近傍のpHは5.5〜6.5であり、純Ti表面における7.0〜7.5よりも低かった。ポリスチレン表面の細胞接着層近傍のpHは金属材料表面におけるよりも高く、細胞接着層外側のpHと同等であった。一方、培養液のみ加えた培養皿の金属材料表面のpHは、細胞がある場合よりも高かったが、316L鋼表面でわずかに低下した。Co-Cr合金表面でも316L鋼表面と同様の結果を得た。金属材料の腐食により溶出した金属イオン(カチオン)の蓄積により、細胞接着層近傍のpHの低下(酸性化)が促進されたと考えられる。しかし、細胞が産生する化学物質によるpH低下も考えられるため、詳細については今後の検討が必要である。
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