研究課題/領域番号 |
15760577
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
触媒・資源化学プロセス
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 功 京都大学, 工学研究科, 助手 (20346092)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | バイオマス / 脱リグニン / 成分分離 / アセトン / 抽出 / 流通反応 / リグニン / 流通反応器 |
研究概要 |
昨年度に続いて、抽出条件が抽出率におよぼす種々の影響を検討した。溶剤としては同じくアセトン水溶液を用いた。一段回分式と二段流通式を比較した結果、両プロセスとも同程度の抽出率を示すことがわかった。一段回分式では50%アセトン水溶液の200℃抽出によって、50%の抽出率を示した。これは二段流通式の脱リグニン温度230℃より低温であるが、回分式であるために加水分解で生成したヘミセルロースからの有機酸が、脱リグニンを触媒していることが、詳細な分析により明らかとなった。すなわち、ヘミセルロースのアセチル基もまた分解することで酢酸を生じ、溶液のpHを下げ、脱リグニンを促進したのである。よって脱リグニン温度を小さくすることはできるが、生成物を分離しながら回収することはできないことになる。また、同じ抽出率である二段流通式抽出では、230℃というより高温にさらされているため、固体として残るセルロースが脱水架橋化し、酸素含有率が小さく、熱分解によるチャー収率の増加に成功した。これにより、純セルロースのチャー収率が6%程度なのに対して、3倍以上もの21%を達成することができた。一方、リグニン抽出液については、昨年度購入の液体クロマトグラフを用いて、分子量分布を測定した。その結果、流通式では分子量900程度に、回分式では1800と7200程度にピークをもつ分布の分子量へと低分子化しながら、アセトンに抽出されていることがわかった。流通式では抽出温度が高いこと、回分式では再縮合が起こることがその理由と考えられる。以上より、両プロセスともにアセトンを抽出溶剤として用いていることから、溶剤の回収も可能で、それによるリグニンの分離も容易である。また、激しい分解を伴っていないことから、炭酸ガスなどもほとんど排出せず、提案法はバイオマスから成分を分離する前処理としては極めて環境調和型であることを明らかにした。
|