研究概要 |
本研究では,マトリックス樹脂の力学的特性を考慮に入れたミクロ力学とプライの特性から積層構造全体の特性を考えるマクロ力学を融合させ,研究代表者が従来行ってきたマトリックスクラック発生予測解析と組み合わせ,それにより,マトリックスクラック発生抑制のための材料開発指針,あるいはマトリックスクラック発生が抑制され,かつ,所望の力学的特性を持たせた積層構造の設計手法を確立させることを目的としている.すなわち,材料非線形性を制御することにより,所望の耐損傷性を有する材料・構造設計を行う.実験においては,実際にそのような材料を作製し,その手法の有効性を確認する. 前年度得られた実験結果(複合材料の構成基材・プライレベルでの非線形挙動)に基づき,耐損傷性複合材料・構造設計手法の構築を行った.前年度までで,材料特性のミクロパラメータから積層構造(マクロレベル)での構成関係,応力分布が算出可能となっているので,それを基礎に材料・構造設計へのフィードバック手法を構築した.構築した設計手法の妥当性を検討するため,いくつかの複合材料・構造の要求性能を設定し,実際にそれを満たす構造の設計を行い,実験的にそれを作製,妥当性を検討した.以上により,ミクロレベルでの材料非線形性を制御することによりマクロレベルでの要求性能をも満たす材料・構造を得る手法を確立し,その妥当性の検討を行った.すなわち,実際にこのような材料を作製し,その性能評価を行った.さらに,長期耐久性を評価するため,クリープ負荷試験を行い,寿命評価の検討を行った.これにより,ホプキンソン棒法衝撃装置による動的試験,熱サイクル試験も併せて,様々な負荷様式での試験について,総合・系統的な材料評価を行うことができた.
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