研究概要 |
当該研究課題の成果について国内発表4件、海外発表1件を行った。また学術雑誌のJournal of nuclear materials及びJournal of Plasma and Fusion Researchにそれぞれ一件の論文が掲載された。さらにMaterials Transactionsには一件の論文の掲載が決定している。 本年度はプラズマ対向材料として最近注目されている低放射化フェライト鋼におけるヘリウム照射効果に関する研究を走査型プローブ顕微鏡(SPM)などを用いて行った。従来,走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた表面形状観察は多数行われてきたが,その分解能には限界があり,損傷機構を解明する上で十分とはいえない.SPMは試料表面を高倍率で観察可能な装置であり、照射材における表面構造についての新規的な観察・解析を行うことができる。1×10^<21>He^+/m^2照射した試料では、SEM観察では表面形状変化は確認されないが、SPM観察により高低差が数nm程度のわずかな乱れが観察された。これはスパッタリングによる影響だと考えられる。照射量が1×10^<22> He^+/m^2に達すると、直径300nm程度の表面ブリスターが観察された。SPM観察から、このブリスターの高低差が50nm程度であることがわかった。さらに表面全体に直径20〜30nmの微小ブリスターが高密度に形成されていることも明らかになった。さらに高照射領域の3×10^<22>He^+/m^2においてはSEM観察では凹凸がまったく確認できなかったが、SPM観察の結果、直径30nm程度、高低差50nm程度の凹凸が表面全体に形成されていることが明らかになった。これは先ほど示された300nm程度の表面ブリスターの皮がスパッタリングによってすべて削り落とされ、表面全体を覆う微細表面ブリスターのみが残存して縦方向に成長したことが原因だと考えられる。
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