研究課題
若手研究(B)
昨年度までの研究で電子温度勾配駆動(ETG)乱流の乱流構造および電子熱輸送係数に対する磁場構造の影響を明らかにし、第20回IAEA核融合エネルギー会議において成果を発表している。今年度はこのシミュレーション研究で見つかった反転磁気シアトカマクにおける乱流構造の物理機構を解明することに成功した。反転磁気シアトカマクにおけるETG乱流シミュレーションでは磁気シア反転面付近のゼロ磁気シア領域に帯状流と呼ばれる磁気面に沿った方向に伸びた渦構造が発見されている。帯状流は空間的に向きが反転し、かつ、磁気面(等圧力面)に沿った方向に流れるシア流を形成して熱輸送を妨げるため、電子断熱層の形成に重要な役割を担っている。このゼロ磁気シア領域の乱流構造を詳細に調べたところ、揺らぎは反磁性回転しながらゼロ磁気シア、すなわち、単一ピッチの磁場構造による共鳴条件の拘束を受けて2次元的に分布していることがわかった。このような2次元回転乱流は惑星大気のロスビー波乱流と類似性があるため、惑星大気における帯状流(東西ジェット)の形成機構としてしばしば議論される乱流カスケードによる自己組織化の観点から電子乱流における帯状流の形成機構を調べた。この結果、電子乱流における帯状流の構造が2次元回転乱流における自己組織化の理論予測と非常によく一致することを発見した。また、この理論に基づいて、密度勾配によって決まる反磁性回転を変化させることにより帯状流の構造を制御できることを発見し、実際に、ゼロ磁気シア領域をモデル化したスラブ配位のETG乱流シミュレーションにおいて、密度勾配を変化させることにより乱流構造とそれに伴う電子熱輸送特性を制御できることを実証した。この結果は、電子断熱層の新しい制御手法を提案しており、これまで制御が難しかった高性能断熱層を用いた定常核融合炉の可能性を示す重要な成果である。
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Nuclear Fusion 45
ページ: 1571-1581
J.Fusion Plasma Res.SERIES 6
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in J. Fus. Plasma Res. SERIES 6(To be published)(発表予定)
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Proceedings of 20th IAEA Fusion Energy Conference, Vilamoura, Portugal, 2004 (International Atomic Energy Agency, Vienna, 2004)