研究課題/領域番号 |
15770022
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物生理・分子
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 正樹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (10242851)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | オーキシン / 細胞周期 / 植物ホルモン / シロイヌナズナ / Myb / 胚発生 / タバコ / BY-2 / 転写制御 |
研究概要 |
本年度は、G2/M期特異的転写を指令する転写因子である3リピート型Myb(3R-Myb)のシロイヌナズナ遺伝子ノックアウト株の解析の過程で、新たにオーキシン信号伝達やオーキシン極性輸送に関連した表現型を発見した。シロイヌナズナには5個の3R-Mybをコードする遺伝子があり、それらは構造からA-type、B-type、C-typeの3つに分類できる。2つあるA-type 3R-Myb遺伝子の二重破壊株では、胚発生の初期に胚柄と胚の区別が不明瞭になり、胚全体が胚柄様の分裂パターンを示す。この表現型は胚の頂端基部軸に沿った極性を形成に不全があることを意味している。また、この変異体はサイトキネシスにも欠損を示す。胚の極性形成の異常は、不完全なサイトキネシスの結果、娘細胞との間の区画化が不完全となり、極性形成に関わる物質(例えばオーキシン)の濃度勾配を形成できなかったためであると解釈できる。一方、C-type 3R-Myb遺伝子二つを破壊した株では、サイトキネシスには欠損を示さないが、胚の極性の異常を示したことから、胚の極性の異常とサイトキネシスの異常とは遺伝学的に分離可能であり、それぞれが3R-Mybの欠失による独立の表現型であると考えられる。胚の極性形成の異常はオーキシン信号伝達因子(ARFやIAA)やオーキシン排出キャリア(pin)の欠失により特徴的に生じる表現型であるので、3R-Mybの転写制御の標的遺伝子が何らかの形でオーキシンと関連していると考えられる。遺伝子破壊株と野生型シロイヌナズナの間で網羅的に遺伝子発現を比較することにより、3R-Mybの標的遺伝子を同定できれば、3R-Mybがどのように初期胚の極性形成に関わっているかを明らかにできると考えられる。
|