研究課題/領域番号 |
15770093
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能生物化学
|
研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
小亀 浩市 国立循環器病センター研究所, 脈管生理部, 室長 (40270730)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | 血液 / 凝固因子 / 血小板 / ADAMTS-13 / フォンビルブランド因子 / 血栓性血小板減少性紫斑病 / 蛋白質分解 / 酵素 |
研究概要 |
ADAMTS-13は、フォンビルブランド因子(VWF)を切断することでVWFの血小板凝集能を調節する酵素である。ADAMTS-13活性の欠損は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を引き起こす。本研究は、ADAMTS-13の構造と機能を解析し、臨床的に役立つ知見を得ることを目的とした。【ADAMTS-13活性測定法の開発】初年度に、ADAMTS-13の特異的基質として機能する最短ペプチドを同定し、これを利用した組換えタンパク質による活性測定法を開発した。今年度は、蛍光基で修飾した化学合成ペプチド基質を開発し、より簡便に測定できる系を確立した。【ADAMTS-13活性の分布調査】開発した蛍光測定法を用い、種々の患者および地域一般住民の血漿ADAMTS-13活性を測定した。従来の報告と同様、TTP患者ではADAMTS-13活性が著減していたが、類似症状を示す溶血性尿毒症症候群患者では正常範囲内の活性が検出された。また、ADAMTS13活性は加齢と共に低下すること、男性より女性の方が有意に高いことが明らかになった。【VWF切断部位認識抗体の作製】初年度、ADAMTS-13で切断されたVWFのC末端断片のN末端を特異的に認識するモノクローナル抗体の作製を試みたが、目的のクローンは得られなかった。そこで今年度は、N末端断片のC末端に対する抗体の作製を試みたが、やはり成功しなかった。本計画を成功させるには、より工夫した戦略が必要なのかもしれない。【ADAMTS-13ノックアウトマウスの解析】初年度から作製し始めていたADAMTS-13ノックアウトマウスが完成した。血漿のADAMTS-13活性は予想通り検出限界未満であり、超高分子量VWFマルチマーの存在も確認できた。しかし、少なくとも通常飼育下ではTTP様の症状を示さなかった。このことは、ヒトとマウスにおいてADAMTS-13への依存度が異なる可能性、あるいは、ヒトにおいてもTTP発症にADAMTS-13以外の要因が関与している可能性を示唆している。本研究によって、今後のADAMTS-13研究の発展に結びつく重要な成果が得られたものと考えられる。
|