研究概要 |
方法 1.前年度に開発した量的形質遺伝子座(Quantitative Trait Loci:QTL)解析の基盤となる遺伝子連鎖地図を作成するためのアルゴリズムについて,その解析効率をシミュレーシと実データで評価する.また,一般配布可能なプログラムを作成する. 2.高次多次元形質のQTL解析のための手法を開発する. 3.作物形態を精密に撮影し,デジタル画像から形状特徴を多次元データとして定量的に計測する画像解析システムを構築する. 4.開発されるQTL解析手法を実データに応用し,高次多次元形質の一例である作物形状を支配するQTLの検出を試みる. 結果の概要 1.Ant Colony Optimization(ACO)を応用した連鎖地図作成のためのアルゴリズムを実装した連鎖地図作成プログラムAntMapを新たに開発した.プログラム開発にはJava言語利用し,様々なOS環境で利用できるようにした.また,一般配布に向け詳細なユーザーズマニュアルを作成した. 2.シミュレーションの結果,ACOを用いた連鎖地図作成アルゴリズムは,精度・効率ともに極めて良好であった.実データでも極めて迅速に地図を作製できることが示された。例えば,あそみのり/IR24RIL家系データ(375マーカー)で約7秒(CPU:Intel Pentium M 1.6GHz)で連鎖地図を構築できた. 3.RGRCで配布されているイネ6家系について,1系統20粒ずつ,計13611粒のイネ籾の形状を構築した画像解析システムを用いて定量的に計測した. 4.高次多次元形質のQTL解析手法として,リッジ回帰と区間マッピング法を組み合わせた手法を新たに開発した.この方法では,従来法のように解析に用いるマーカーの選択の必要がなく,その選択組合せにより結果が異なるというような人為による影響を排除できる. 5.開発した手法により,各マーカー領域についてイネ籾形に及ぼす効果を推定することができた.推定された効果に基づきQTLが座乗すると考えられる染色体断片を予測できた.
|