研究課題/領域番号 |
15780010
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
作物学・雑草学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
春原 由香里 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (00302539)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 除草剤 / 選択作用性 / 活性酸素分子種 / 酸化傷害 / 植物ホルモン / 化学発光 / 過酸化水素 / 水稲用除草剤 / キンクロラック / 抗酸化酵素活性酸素 / 過酸化脂質 / 活性酸素 / イネ / タイヌビエ |
研究概要 |
キンクロラックに対して感受性を示すイヌビエでは、処理後にエチレンの前駆物質である1-Aminocyclopropane-1-carboxylic acid(ACC)含量の増加やACC合成酵素活性の増大、またそれに伴うエチレン発生量の増加、シアン化物の蓄積が起こる。これに対し、抵抗性を示すイネでは、これらの増大や蓄積が起こらないことから、キンクロラックの両植物種間での高い選択性は、主にエチレン生合成系の反応の差に起因するシアン化物蓄積量の差により引き起こされていると推定されている。これまで我々は、キンクロラックに対して感受性を示すトウモロコシやタイヌビエでは、光照射下において本剤の作用が増強することから、光で増加する葉部での活性酸素等が作用発現に関与している可能性を示唆し、さらに、本剤によるイネ-タイヌビエ間の高度選択性の発現に両植物種間での抗酸化能の差も関与している可能性があることを報告してきた。しかし、キンクロラックの生育抑制作用は、光照射下で増強されるものの、暗条件下でも、ある程度起こることが観察されていた。そこで本年度は、キンクロラックの作用メカニズムの詳細を解明することを目的として、本剤の暗条件下での症状と生育抑制作用の有無、そして、生育抑制作用が確認された場合、その要因について検討を行った。その結果、本剤の生育抑制作用は光照射下だけでなく、暗条件下でも引き起こされることが実際に示された。また、共焦点レーザー走査顕微鏡によって、本剤処理後の根部観察(活性酸素発生の検討)を行った結果、キンクロラック処理15時間後のトウモロコシ根部からは、強い蛍光が認められた。活性酸素検出の蛍光プローブとしては、dihydroethidium(DHE)を用いて根部染色を行ったが、DHEは、活性酸素種の中でもO_2^<-^.>をより特異的に検出するとされている。このため、本剤は根部処理15時間後には、すでに根部でO_2^<-^.>発生を引き起こしていることが考えられる。このことから、キンクロラックの暗条件下での生育抑制作用には、この根部における活性酸素発生が密接に関与している可能性がある。これまで、キンクロラックは、葉部でのみ活性酸素発生を引き起こすことが示されていたが、本研究により、初めて、根部においても活性酸素発生が引き起こされている可能性が示された。また、活性酸素種は反応性が高く捕らえにくいが、この実験手法は、今後、さまざまな薬剤による根部での活性酸素発生の検討に役立つと思われる。
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