研究概要 |
本年度は,バラ科に属する果樹および樹木で報告されているSSRプライマーおよび演者らが前年度までに開発したニホンナシおよびセイヨウナシSSRプライマーをナシ属植物に適用し,検出されたSSR遺伝子座における対立遺伝子の解析と,それらのデータに基づく遺伝学的分類を行った. 本研究で供試した14種類のニホンナシSSRプライマーのうち,7遺伝子座がニホンナシF_1集団で分離を示し11遺伝子座がセイヨウナシF_1集団で分離を示した.また,7種類のセイヨウナシSSRプライマーのうち,6遺伝子座がセイヨウナシF_1集団で分離を示した.ナシ属以外で開発されたプライマーにおいては,リンゴ由来SSRプライマー122種類のうち,71種類においてSSR遺伝子座が増幅され,58遺伝子座がセイヨウナシF_1集団で分離を示した.カエデバアズキナシ(Sorbus torminalis)由来SSRプライマーでは,試験した6種類のうち4種類においてSSR遺伝子座が増幅され,3遺伝子座がセイヨウナシF_1集団で分離を示した.ニホンナシSSR遺伝子座の対立遺伝子の共有率をもとにUPGMA法を用いてナシ属の分子系統樹を作製した.14種類のニホンナシSSRプライマーを用いることによって,2組の枝変わり品種とその原品種を除きすべての遺伝子型を分類することが可能となった.以上の結果より,本研究で作製したニホンナシおよびセイヨウナシSSRプライマー,リンゴおよびカエデバアズキナシで報告されているSSRプライマーをナシ属遺伝資源の分類およびニホンナシとセイヨウナシの遺伝的連鎖地図の作製に有効利用できることが明らかになった. 本年度は上記成果を,園芸学会平成16年度秋季大会において研究発表した.
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