研究課題
若手研究(B)
マルチウイルス耐性植物作出のための基礎的知見を得るため以下の戦略で研究を進めた。種々のウイルス由来の遺伝子配列を導入することにより植物にマルチウイルス抵抗性が付与されると期待される。そこで、植物に有効に耐性を付与しうるウイルス由来導入配列を評価する系の確立を試みた。まずパーティクルガンを利用した単細胞RNAi法を試みた。モデルとなる標的遺伝子としてタバコのポリアミン合成に必要なアルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)遺伝子を用い、細胞内でdsRNAを発現するようなinverted repeat(IR)配列を含んだDNA配列を植物細胞内にパーティクルガンで撃ち込んだところ、IR配列を導入しなかった場合に比べて、導入2〜3日後で標的遺伝子の発現低下が観察されたが、その程度が不十分であった。IR導入によるdsRNAの発現量が十分では無い可能性が考えられたため、IR発現ベクターと同様の配列から生じたdsRNAの導入を行ったが、その場合にも明瞭なRNAi効果が得られなかった。そこで、次にウイルスベクターによる簡便なRNAi誘導系であるVirus-induced gene silencing(VIGS)を試みた。標的遺伝子としてカロテノイド合成に必要なPhytoene desaturase(PDS)遺伝子を用いたところ、RNAiの指標となる葉の白色化が認められたため、Tobacco mosaic virus(TMV)の配列の一部をウイルスベクターに導入して感染させ、RNAiが起こっている葉にTMVを接種したところ、TMVの増殖量の明瞭な低下が確認され、この系を用いて導入配列の有効性を評価するのが可能であることを明らかにした。
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Journal of General Plant Pathology 70
ページ: 353-358
10014083301