研究課題
若手研究(B)
本年度は、本研究課題の実験対象である超好熱始原菌Thermococcus kodakaraensis KOD1株の遺伝子工学的育種を中心に研究を進めた。まず本菌に存在する2種類のヒドロゲナーゼ(細胞質型および膜型)の内、細胞質型ヒドロゲナーゼの遺伝子破壊株を作成した。ピルビン酸添加培地を用いた連続培養安定時の水素発生速度を測定した結果、破壊株は元株と比較して数%高い値を記録した。ピルビン酸を水素発生基質として用いた場合は、その代謝により水素と二酸化炭素がそれぞれ一分子ずつ発生すると考えられている。細胞質型ヒドロゲナーゼ破壊株の二酸化炭素に対する水素の発生割合は0.96であり、一元株と比較して0.08上昇していることが確認されたことから、本菌の細胞質型ヒドロゲナーゼは水素の再吸収に関与していることが示唆された。次に、ヒドロゲナーゼ以外の代謝反応が律速となっている可能性を考え、本菌の水素発生に関与する膜型ヒドロゲナーゼに還元力(還元型フェレドキシン)を供給する、ピルビン酸フェレドキシン酸化還元酵素(POR)の大量発現株の作成を行った。組換え株の水素発生速度について測定を行った結果、元株と比べてほぼ同等の値となった。そこで組換え株におけるPORの発現量を活性測定法により確認したところ、1.2〜2倍の活性の上昇が観察された。これらのことから、PORが関わる反応は菌体内での水素発生に関わる代謝反応において律速ではないことが示唆された。最後に、T.kodakaraensisの水素生産に関する第一報がJournal of Biotechnology誌に受理され、出版された。
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Journal of Biotechnology Vol.116, No.3
ページ: 271-282
Genome Research Vol.15, No.3
ページ: 352-363
Archaea Vol.1, No.4
ページ: 23-267
Journal of Bacteriology Vol.186, No.18
ページ: 6070-6076