研究課題
若手研究(B)
本研究は糸状菌Aspergillus aculeatusを用いた未利用資源からの直接発酵法による糖供給源としての有効利用を目的として研究を行った。まず、未利用資源から効率よく単糖を蓄積させる試みとして本菌に紫外線を照射し糖代謝能力を欠損した変異株を得た。この変異株はD-キシロースに対する生育能力を持たず、キシリトールを蓄積する性質を示し、D-グルコースやL-アラビノースに対する生育能力は欠損していなかった。このことからキシリトールからD-キシルロースに変換する酵素遺伝子が破壊されたことが示唆された。研究に用いた糸状菌はでんぷんだけでなくセルロースやヘミセルロースといった難分解性バイオマスの分解能力に優れた微生物でありすでに種々の多糖分解酵素が同定されている。つぎに、ヘミセルロースを最終的に単糖にまで分解するのに必要な酵素である、L-アラビノフラノシダーゼおよびD-キシロシダーゼの遺伝子クローニングを目的として両酵素の同定および精製を行った。両酵素は別々に存在し、オリゴ糖にも作用し最終的に単糖を生成する事のできる重要な酵素であると結論した。変異株によって蓄積されるキシリトールはより付加価値が高く応用が期待できる希少糖に変換できることを明らかにした。L-キシルロースは医薬品への利用が期待されるL-キシロースの原料としてキシリトールからアルカリジェネス属細菌によって生産されできた。また、同様にバイオマスから生産可能なD-グルコースから希少糖であるD-プシコースおよびD-アロースの大量生産も可能であった。一方で、変異株を用いた直接発酵法による単糖の生産は最終産物であるキシリトールの蓄積量が少なく、酵母を用いたキシリトール生産に比べて実用性が低いと考えられたので糸状菌単独で直接発酵するよりも酵母を組合わせた方法がより効率よくキシリトールを生産できると考えられる。
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