研究概要 |
昨年度までに,褐藻由来アルギン酸オリゴ糖(ALGO)がTh1/Th2バランスを調節しアレルギー抑制活性を示すことを明らかにした(論文として発表済).一方,ALGOによって産生が誘導され,抗アレルギー活性の中心的因子であるIL-12が経口免疫寛容の誘導を阻害することを明らかにした.そこで,本年度はALGOを実際にマウスに経口的に投与することにより抗アレルギー食品としての有効性を実証した.さらに,IL-12が経口免疫寛容に与える影響をより詳細に検討し,ALGOなどの抗アレルギー食品をアレルギーの予防や治療のために日常的に摂取することの安全性を実証した. 1,BALB/cマウスをアレルゲンタンパク質で免疫することによってIgE産生を誘導した.その際に,同マウスに,ALGOを経口的に投与したところ,投与しなかった群と比較してIgE産生が有意に抑制された.これにより,抗アレルギー食品としての有効性が実証された. 2,ALGOにより産生が誘導されるIL-12を,既に経口免疫寛容が誘導されたBALB/cマウスに経口投与し,その後の非経口的な抗原投与に対する抗体産生応答を測定した.その結果,IL-12の経口投与は既に誘導された経口免疫寛容を破綻させないことが明らかとなった. 3,IL-12により経口免疫寛容の誘導が阻害されたマウスに再度同じ抗原を経口摂取させた結果,一度寛容の誘導が阻害されたマウスにおいても,再び抗原を経口摂取することにより経口免疫寛容が誘導されることが示された.上記の2,3および昨年度に報告した内容の一部より,1L-12産生を誘導する抗アレルギー食品の起こり得るリスクと実用に際する安全性を実証した. 4,抗原を経口投与したマウスの脾臓細胞を抗原特異的T細胞と共培養することによって,これらのマウスのT細胞にアナジーが誘導されていることを明らかにした.すなわち,IL-12の経口投与は経口抗原によるT細胞のアナジー化の誘導を阻害することを明らかにした. (上記の2-4および昨年度に報告した成果の一部をまとめた論文を投稿中)
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