研究概要 |
グアイアシル基とシリンギル基から構成される4種類の8-O-4'型ネオリグナン(GGSE、SGSE、GGCE及びSGCE)の各々のエリトロ体及びトレオ体8種類を別々に化学合成した。それぞれのアセトニド中間体の^1H NMRを詳細に検証した結果、トチュウから単離されたGGSEはエリスロ体であると同定した。 次に、トチュウ若枝に[8-^<14>C]SAと[8-^<14>C]CAの混合溶液を吸収させるフィーデング実験を行った。前駆体の^<14>Cは、主に茎の遊離GGSEに取込まれ、特にそのエリトロ体にはトレオ体より約3倍多く取込まれた。さらに、両者とも光学活性が認められた(エリトロ体:(-)体12.7%e.e.,トレオ体:(+)体45.3%e.e.)。茎のGGSE配糖体への取込みはわずかであった。葉では,^<14>CはGGSE配糖体のみに取込まれ,そのエリトロ体(6.4%d.e.)への選択性はわずかであったものの,それは光学活性であり[(+)体で51.6%e.e.],トレオ体も(-)体で7.4%e.eであった。4画分を合わせた取込み率では,エリトロ体はトレオ体の2.4倍であった。このことからCAとSAのクロスカップリングがジアステレオ選択的に起こり,主にエリトロGGSEを与えること,並びに生じたエリトロ体とトレオ体ともに光学活性であることが初めて見出された。 また、トチュウ若枝の切り口から[8-^<14>C]SAを吸収させるフィーデング実験も行った。その^<14>Cは茎と葉の遊離SGSEとSGSE配糖体に取込まれ、全てエリトロ体に多く取込まれた。茎のエリトロSGSEのわずかな(+)の活性を除いて,エリトロ体とトレオ体ともに(-)の光学活性が認められた。このことからSAのカップリングがジアステレオ選択的に起こり,光学活性なエリトロSGSE(シリンギル型8-O-4'型ネオリグナン)を与えることが初めて見出された。
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