研究概要 |
本研究では現地調査研究を中心として実施し,当地を訪問しバイオガスプラントの視察,行政・研究機関及び民間関係機関を訪問することによる聞き取り調査を行う.初年度(平成15年度)には,EU加盟国の中でもバイオマスシェアが圧倒的なデンマークで現地調査を行った.実態調査研究のポイントは,ヨーロッパ及び国内畜産地域において畜産系・都市廃棄物系バイオマスの発生量を推計することである.そして,発生量からどのくらい回収され利用されているのかを把握する.また,回収過程で主体になる組織の運営状況も調査し,政府の役割についても検討する.なお,バイオマスの有効活用の一形態であるバイオガスプラントの運営組織・政府支援について調査することであった. 調査結果,明らかになったことを整理すると以下のとおりである.第1に,バイオマスの利活用は環境政策とエネルギー政策と密接なかかわりがあることである.その意味で総合的なアプローチが必要である.第2に,バイオマスの利活用において政府の役割は長期計画を立案し,ビジョンを提示することである.第3に,バイオマスの利活用において規制だけでなくインセンティブを与えることが利活用を促すために必要である.第4に,バイオマスを利活用する上で地域ネットワークの構築が必要である.第5に,日本においても再生可能エネルギー普及支援策としてRPS制度が2003年度から施行されたが,RPS制度は先行地域であるEU加盟国の制度的枠組みと比べて問題点がある.第6に,バイオマスの利活用を促すためには廃棄物政策の見直しが必要である. なお,本年度の調査結果はホームページに公開してある.ホームページのアドレスは以下のとおりである. http://www.obihiro.ac.jp/~kyouseieco/biogas.html
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