研究概要 |
1.取り扱っている商品の質や価格帯が異なる2つの食品スーパーを対象に,青果物コーナーでの消費者の商品選択時の視点の動きや,商品選択に当たっての意識をアイカメラとICレコーダーを用いて把握するとともに,そのデータを解析することにより,店舗特性別の食品情報の提供方法を明らかにした。 (1)アイカメラデータの解析から、表示上の視点の動きは、2つのスーパーともに視点が店頭表示上に書かれた情報(産地,価格,品名など)の上を移動するという「念入りチェック」と、視点が店頭表示に書かれた情報の上を移動せず瞬時に表示の外に移る「簡単チェック」の2種類が観察された。また、購入した商品については2つのスーパーともに高い割合で念入りチェックを行っている。 (2)「念入りチェック」の時に注視した情報内容は、一般スーパーでは「価格」「品名」がそれぞれ7割、6割を超え、「産地」が5割近く、「量目」も3割を超えている。一方、高級スーパーでは、「品名」「価格」を注視した割合は一般スーパーと大きく違わないものの、「産地」「量目」「サイズ」「広告の品・お買い得・セール」を注視した割合は一般スーパーよりかなり低い。ただし、「レシピ」「レシピカード」「POP」といったプライスカード以外の情報を注視した割合は、高級スーパーの方が高い。 (3)プロトコルデータから視点が「念入りチェック」を行っている際に考慮された情報内容は、アイカメラデータと同様に「価格」は一般スーパー、高級スーパーともに高い割合であったが、「産地」「量目・規格・サイズ」「品質・傷み・揃い」については、一般スーパーの方が考慮する割合が高くなっている。一方、高級スーパーの方が考慮する割合が高い情報内容は「嗜好」「旬」「珍しさ」であり、いわば「こだわり」商品を求める際に考慮すると考えられる情報にも注目している。
|