研究課題/領域番号 |
15780186
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
塚原 伸治 神戸大学, 自然科学研究科, 助手 (90318824)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 性差 / 性分化 / 性腺刺激ホルモン放出ホルモン / エストロゲン / 視床下部 / 前腹側脳室周囲核 / 視交叉上核 / 排卵 / 生殖 |
研究概要 |
前年度研究において、初期応答遺伝子(c-Fos)の発現を神経細胞の活動指標として雌ラットの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)神経細胞、前腹側脳室周囲核(AVPvN)、および視交叉上核(SCN)の神経活動の経時変化を調べた結果、GnRH神経細胞およびAVPvNの活動は排卵を誘起するGnRHサージと同期する黄体形成ホルモン(LH)のサージ状分泌と相関を示し、SCNの活動はGnRH神経細胞およびAVPvNの活動に先行していた。以上のように、排卵制御に関与する視床下部の活動動態が明らかになった。そこで本年度は、排卵制御に関わる視床下部の性差と性分化に関する研究をおこない、以下の知見を得た。 (1)エストロゲンもしくは溶媒投与した性腺除去雌雄ラットを用いて、GnRH神経細胞、AVPvNおよびSCNにおけるc-Fos発現の定量免疫組織化学的解析をおこない、雌雄間で比較した。また、血漿中LH濃度をELISA法により測定した。その結果、エストロゲン投与雌ラットのみにおいて、サージ状LH分泌がみとめられ、GnRH神経細胞、AVPvN、およびSCNのc-FOS発現が亢進していた。一方、溶媒投与雌およびエストロゲンもしくは溶媒投与雄におけるLH濃度と各領域におけるc-Fos発現はエストロゲン投与雌よりも有意に低かった。 (2)出生日にエストロゲンを投与して脳を雄化させた雌ラットを作製し、上記(1)の実験方法に従ってLH濃度、GnRH神経細胞およびAVPvNのc-Fos発現を調べた。その結果、発達期にエストロゲン処置された雌ラットでは、対照群雌ラットに比べて、LH濃度、GnRH神経細胞およびAVPvNのc-Fos発現が減少した。 以上のことから、排卵の制御に関わるGnRH神経細胞、AVPvNおよびSCNに局在する神経細胞の働きには性差がみとめられ、その一端はエストロゲンに対する脳の反応性の性差に起因すると考えられた。さらに、この性差は、発達期のエストロゲンの影響を受け、形成されることが示唆された。
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