研究課題/領域番号 |
15790085
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医療系薬学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
伊藤 晃成 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (30323405)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | Mrp2 / 胆汁排泄 / 種差 / 黄疸 |
研究概要 |
医薬品開発過程での毒性評価はしばしばイヌやサルなどの大動物においても行われるが、ラットやマウスなどの小動物と比較してその遺伝子情報および遺伝子産物の機能に関する情報も十分ではない。毒性ターゲットとなりうる蛋白分子の機能解析は実験動物においてもなされるべきであり、これにより毒性発現の分子機構解明が加速されるはずである。また毒性ターゲット分子が既知の場合、動物実験に代替してヒト或いは動物の遺伝子を用いたin vitro発現系の利用が可能である。 今年度はH15年度に引き続きマウス、サルのMrp2の機能発現系の作製と評価を行った。BALB/cマウスおよびカニクイザル肝臓cDNAよりPCRクローニングされた遺伝子はデータベースに報告されたものと比較し、いくつかのアミノ酸変異を伴うSNPsを有していた。この遺伝子産物の機能をバキュロウィルス発現系で測定した。両種のMrp2はこれまで知られているラット、ウサギ、イヌ、ヒトMrp2同様に有機アニオン性化合物の輸送活性を有することが示されたが、興味深いことに蛋白一分子当たりのグルタチオン抱合体の輸送活性、すなわち固有輸送活性がラットやイヌに比較して顕著に大きかった。またグルクロン酸抱合体に対する親和性がラットやイヌに比較して極めて低いことが明らかとなり、Mrp2分子当たりの輸送活性、基質への親和性に大きな種差があることが明らかとなった。標準抗原を用いたWestern解析より、マウスとサルの肝臓におけるMrp2蛋白発現量はラットのそれぞれ3分の1、10分の1と見積もられた。Mrp2の質的、量的違いのうち、ラット、マウス、イヌ、サルで過去に報告されていた薬物胆汁排泄能力の差は主にMrp2蛋白発現量の違いでほぼ説明可能であることが示された。一方阻害親和性に見られた大きな種差は薬物による黄疸誘発性の種差がありうることを改めて示すものであり、本研究で得られた一連のMrp2発現系はこれらを簡便にスクリーニングするツールとして応用可能と思われる。
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