研究課題
若手研究(B)
PDK1はPKCのactivation loop (AL)をリン酸化し、PKCを成熟させる酵素である。このPDK1によるALリン酸化を抑制することがPKCターゲティング機構にどのような影響が現れるかを検討するため、PDK1の偽基質であるδALPIFを作製した。δALPIFはγ-およびδ-PKC-GFPのALリン酸化、キナーゼ活性を抑制するとともに、受容体刺激時にγ-,δ-PKC-GFPが細胞質から細胞質へと一過性にトランスロケーションした後に再び細胞質へ戻る(リトランスロケーション)までの時間を延長させることが分かった。このリトランスロケーションの遅延のメカニズムを詳細に検討するため、PDK1によりリン酸化を受けるγ-,δ-PKC-GFPのALに存在するスレオニン残基をアラニンに置換した変異PKC-GFP(PKC-ALM(ALmutant)-GFP)を作製した。γ-,δ-PKC-ALM-GFPにおいては、受容体刺激による細胞膜へのトランスロケーションは野生型PKC-GFPと同様に起こるが、その後のリトランスロケーションの遅延が見られた。同様の現象はPKCのキナーゼ活性を消失させた変異PKC-GFPでも観察された。受容体刺激によるPKCのトランスロケーションは一過性の細胞内Ca^<2+>濃度上昇と細胞膜でのジアシルグリセロール産生増大によって起こると考えられている。PKC-ALM-GFPにより、細胞内Ca^<2+>濃度の変化には影響しないが、ジアシルグリセロールが細胞膜で増大したままになることが明らかとなった。以上の結果より、PKCのALリン酸化の抑制は、PKCのキナーゼ活性を低下させ、ジアシルグリセロール分解を抑制し、それによりPKCのリトランスロケーションの遅延を引き起こすことが明らかとなった。
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