研究課題
若手研究(B)
肝炎や肝硬変、肝癌の原因ウイルスであるC型肝炎ウイルス(HCV)のコア蛋白質はER、ミトコンドリア、脂肪滴、核など複数の細胞内小器官に局在し、遺伝子の転写調節、免疫系、脂質代謝、アポトーシスに対する感受性など様々な影響を有する多機能な蛋白質として知られているが、それらの分子レベルでのメカニズムは未だ明らかでない。そこで細胞内の各小器官におけるコア蛋白質の機能を分子レベルで明らかにする為に、初めにコア蛋白質の細胞内局在を規定するシグナルの解析を行なった。コア蛋白質の様々な領域とGFPとの融合蛋白質を発現させ、分画および細胞染色により、コア蛋白質のアミノ酸112-152番目の領域がERおよびミトコンドリアへの局在に重要である事を明らかにした。またコア蛋白質のN末端側の3カ所の塩基性アミノ酸クラスターがimportinαとの結合に重要である事から、これらの領域がコア蛋白質の核移行シグナルとして機能すると考えられた。次に核内におけるコア蛋白質の機能を明らかにするために、核に局在するコア蛋白質の変異体を発現させ、核を分画し、プロテオーム解析を行なった。その結果、陰性対照群と比較して等電点が変化する分子量が約12kDaおよび36kDaの2つのスポットを見いだした。MALDI-TOF-MSによる分析より、12kDaのスポットがEnhancer of Rudimentary Homologue、36kDaのスポットがTGF-beta receptor interacting protein 1である事を明らかにした。しかしながらこれらの蛋白質は、HCVコア蛋白質との直接的な結合は認められず、またコア蛋白質によるリン酸化レベルの変化も認められなかった。この事からリン酸化以外の修飾が生じている可能性が示唆された。
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Journal of Virology 79
ページ: 1271-1281
Virology 317
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