研究課題/領域番号 |
15790303
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
錦谷 まりこ 帝京大学, 医学部, 助手 (40327333)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 労働災害 / 国際比較 / 労災補償保険 / 社会保険制度 / 死亡事故 / 業務上疾病 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国 / 保険制度 |
研究概要 |
日本を始め他の先進国で労働災害(以下、労災)による死傷者数は近年減少傾向にあるが、労災発生率の国による格差は変化していない。本研究では、労災死傷者数、業務上疾病者数の国際間格差を明らかにし、その原因を考察した。 労災死傷者数を比較するにあたり、ILOとOECDのデータベースより労災件数及び人口関連の各国統計を収集し、労災発生率等を算出した。また、業務上疾病者数を比較するにあたり、日本と米国ワシントン州における労災認定を受けた腰痛患者の数について海外の研究者と協力し比較を行った。 調査対象のOECD加盟国が1993〜1998年の間にILOへ報告した労働人口10万人あたりの全労災件数の各国年間平均発生率は17〜4608で分布し、死亡労災発生率は1〜12の範囲で分布した。Heinrich's Lawに従って死亡の件数を基準に全労災件数との比を算出し、国際比較の指標「total/fatal ratio(以卞、T/F ratio)」としたところ、T/F ratioは約374倍の格差を示した。労災定義の同じ国について(Japan, Ireland, HungaryおよびUK)産業種を限定して比較したところ、T/F ratioの格差は縮まったが、依然7倍の格差が存在した。業務上疾病の腰痛に関しては、3日以上休業した腰痛認定件数が日本では労働者1000人当たり約1件であるのにワシントン州では58件であった。 T/F ratioがその国の報告する労災事故の重篤性の逆数を示す可能性が一部の危険因子より説明されたが、対象産業を限定し各国の定義する労災の集計条件をそろえても約7倍の国際間格差が示された。また、疾病の労災認定に関しては日米で約60倍の格差が示された。米国は州によって社会保険のシステムが多様で、例えばワシントン州でに民間の保険会社が労災保険を行っており、国全体ではT/F Ratioは433と高い傾向にあった(日本は75)。 OECDの主要国の労災補償保険制度のシステムについて調査した結果、労災保険制度が(1)他の社会保険制度と独立、(2)政府機関が運営管理、(3)安全衛生管理監督機能も向時に備えている国では、より低いT/F ratioが観察された。
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