研究概要 |
平成15年度,および16年度にα受容体刺激時にはカルモデュリン依存性キナーゼ(CaMKII)の活性化を介してL型Ca電流が増大することを穿孔パッチクランプ法および生化学的手法を使用して示した.本年度は主に免疫組織学的手法を利用して,CaMKIIの細胞内局在について検討を行った.ラット単離心筋細胞にリン酸化されたCaMKII(活性化CaMKII)にのみ結合する抗体を1次抗体として反応させ,Alexa546結合の2次抗体を結合させた.また,膜全体を染めるために,FITC結合のWGAを結合させた.共焦点レーザー顕微鏡で,活性化CaMKIIと膜表面の局在を検討した.また,パッチクランプおよびウェスタンブロッティングにて用いたのと同様のプロトコールでα受容体刺激を行い,細胞内の活性化CaMKIIの局在を検討した.α受容体非刺激時には活性化CaMKIIは表層細膜近傍に存在したがα受容体刺激時には活性化CaMKIIはT管近傍に多く存在し,細胞膜全体をWGAで染色したものとT管の位置で重なっていた.さらに同様の活性化CaMKIIの抗体を1次抗体として用いて2次抗体として金粒子を結合させて電子顕微鏡で測定をおこなった.α受容体非刺激時には金粒子(活性化CaMKII)は表層細胞膜およびT管に存在したが,α受容体刺激時には活性化CaMKIIはT管に多数存在した.L型CaチャネルはT管に局在することがわかっているので,この活性化CaMKIIがT管に存在するCaチャネルを修飾したと考えられる.電気生理,生化学の結果とあわせ,α受容体刺激時にはプロテインキナーゼC,CaMKIIの活性化を介して,最終的にCaMKIIがL型Caチャネルをリン酸化させて電流を増大させていると考えられた.
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