研究概要 |
平成15年度には、キャピラリー等速電気泳動(cITP)法を用いて荷電によるLDL亜分画の分離、定量と特性を検討した。平成16年度には、cITPによるLDL亜分画[fast-migrating LDL (fLDL)とslow-migrating LDL (sLDL)]と比重によるLDL分画との間の関連を検討した。 対象は8名正脂血症(NL)、8名高コレステロール血症(HC)と、9名高トリグリセライド血症(HTG)を有するものとした。早朝空腹時採血を行い、血清を分離した。比重によるLDL亜分画はheparin-Mg^<2+>法にて行った。300U/mlのheparin-Na^+溶液と180mM MgCl_2溶液を1対1の割合で混和し、heparin-Mg^<2+>混合液を作った。血清とheparin-Mg^<2+>溶液(1:1)を混和し、氷上で25分間静置した後、micro centrifugeで4℃、15000rpm、15分間遠心した。Large, light LDL分画(d > 1.044g/ml)が沈澱され、small, dense LDL分画が上清に残るので、比重によるLDL分画が分離される。6μlの血清と12μlのlarge, light LDL分画除去血清を用いてNBD-ceramideで染色した後、cITP分析を行った。cITP fLDL値は内部マーカーに対するピーク下面積として定量した。Large, light LDL分画でのcITP fLDLは血清とsmall, dense LDL分画でのcITP fLDL値より計算した。 NL、HC、HTG群いずれにおいても、cITP LDLはsmall, dense LDL分画ではlarge, light LDL分画と比較して高値を示した。これは、cITP LDLが主にsmall, dense LDL分画に分布されることを示した。しかし、HCとHTG群ではsmall, dense LDL分画においてもlarge, light LDL分画においてもcITP LDLがNL群と比較して高値を示した。この結果は、HCとHTGにおいては、small, dense LDL分画だけではなく、large, dense LDL分画でのcITP fLDLの増加も重要である可能性を示唆した。
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