研究概要 |
<実験1:ヒト気道上皮細胞における検討>ヒトmonocyte由来のcell line U937とrat alveolar macrophageを用い,M.pneummoniae membraneまたはlipoproteinを曝露後,mediaを回収し,TNF-αまたNitric oxide産生を計測する。<実験2:肺コレクチンの調節機構の検討>U937細胞またはrat alveolar macrophageにM.pneumoniae曝露後,肺コレクチンSP-Aを加えTNF-α,NOの産生における肺コレクチンの影響を検討する。<実験3:マイコプラズマ認識分子の検討>HEK293 cellにToll like receptor2またはCD14 transfectant geneをtransfectしmycoplasma lipoproteinを加えた時のNFk-Bのactivationをluciferase活性によって計測する。<実験4:マイコプラズマ増幅に対するSP-Aの直接的影響の検討>マイコプラズマ培養液中にSP-Aを加え、増殖に対する影響を検討する。 結果 実験1:mycoplasma membraneとripoproteinを加えたいずれの場合においてもTNF-αとNOの産生が濃度依存性に誘導された。さらに同量のmembraneとlipoproteinを加えた場合lipoproteinの方が産生誘導において優っていた。このことからmembrane中のlipoproteinが炎症反応を惹起する生理活性物質であることが示唆された。実験2:実験1で示したmycoplasma誘導細胞応答に対してさらにSP-Aを加えると細胞応答がSP-Aの濃度に依存して増強されることが示された。実験3:TLR2 cDNAをtransfectしたHEK293細胞はmycoplasma lipoproteinに対してNFk-Bの活性化を惹起する。さらにCD14 cDNAをco-transfectした場合、NFk-Bの活性化が増強された。このことからmycoplasma感染において、その認識に宿主側のTLR2,CD14が受容体として関与していることが示唆された。実験4:マイコプラズマ培養液中にSP-Aを加えるとその加えた濃度に依存して、コロニー形成、菌体によるthymidineの取り込みが抑制され、増殖が抑えられることが示された。
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