研究概要 |
平成16年度は未治療の重症筋無力症(MG)を対象に,低量FK506早期投与の効果を無作為割付,前向き試験により検討した新患入院MGを無作為にFK506(3mg/日)投与群(18例:57±17歳),非投与群(16例:54±16齢に割り付け,両群とも,以下の治療により十分な改善を得た上で,必要とされた治療内容を比較しFK506の有効性を検討した一入院初期治療は抗コリンエステラーゼ剤非使用とし,FK506以外の治療は,経口prednisolone (PSL)20mg/日以下と免疫吸着法(IA)+ステロイドパルス(HMP)併用療法のみとした.初期治療終了はPSL 10mg/日以下で日常生活に支障ないレベル(Minimal Manifestations' of Myasthenia Gravis Foundation of America (MGFA) Postintervention Status : MM)に到達した時点とした.初期治療終了後も治療開始1年後の時点までフォローアップしたこのフォローアップ期間の治療はPSL20mg/日以下,Pyridostigmine bromide 120mg以下,IA+HMP併用療法,HMPとした.その他のパラーメータとして,初期治療終了時と治療開始1,6,12ヶ月後の重症度(MGFAに準拠),重症度比率(治療後/前),interleukin-2 (IL-2)産生能,IL-2産生能比率(治療御前),抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体価抗AChR抗体価比率(治療後/前)を評価した. 両群ともに十分な改善が得られ(MM),両群間の重症度に差はなかった.FK506投与群では非投与群に比し,有意(p<0.05)に初期治療期間が短く,初期治療に要したIA/HMP(回)が少なく,PSL投与量が少なかった.フォローアップ期間に要した治療の比較でも,FK506投与群では非投与群に比し,有意(p<0.05)にIA/HMP(回),HMP(回)が少なく,PSL投与量が少なかったMGに対する低量FK506早期投与は有効であることが示された.
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