研究課題/領域番号 |
15790471
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
代謝学
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
石井 正和 昭和大学, 薬学部, 助手 (30307061)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | TRPM2 / 活性酸素 / β細胞 / カルシウム / 細胞死 / 過酸化水素 / チャネル / 細胞障害 |
研究概要 |
TRPM2チャネルは、活性酸素のひとつである過酸化水素により強力に活性化されることが明らかになったカルシウム透過型チャネルである。しかしながら、過酸化水素によるTRPM2チャネル活性化に、どの活性酸素種が関与するかは不明だった。本研究では、TRPM2を発現させたHEK293細胞とTRPM2を恒常的に発現しているラット由来β細胞株RIN-5F細胞を用いて、過酸化水素によるTRPM2活性化に関与している活性酸素種の同定を試みた。その結果、両細胞において、過酸化水素処置による細胞内カルシウム濃度上昇は、ヒドロキシラジカル消去剤である1,3-dimethyl-2-thiourea(DMTU)、N-(2-mercaptopropionyl)-glycine(MPG)および2価鉄のキレート剤である2,2'-dipyridyl(DP)処置により濃度依存的に抑制された。したがって、過酸化水素によるTRPM2活性化にはフェントン反応を介して産生したヒドロキシラジカルが関与していることが明らかとなった。そこで次に、ヒドロキシラジカルの作用部位を決定するため、細胞外で予めヒドロキシラジカルを生成し(試験管内で過酸化水素と2価鉄を反応させヒドロキシラジカルを産生)、それを細胞に処置したところ細胞内のカルシウム濃度上昇は認められなかった。しかしながら、2価鉄を1時間前処置し、その後細胞外の鉄を除去し過酸化水素を処置すると、著しい細胞内のカルシウム濃度上昇が認められた。ヒドロキシラジカルは細胞膜を通過できないことから、過酸化水素によるTRPM2活性化には、細胞外ではなく、細胞内で産生されたヒドロキシラジカルが関与していることが明らかとなった。我々は以前の研究で、過酸化水素によるRIN-5F細胞障害にTRPM2を介したカルシウム流入が関与していることを報告した。さらに本研究では、過酸化水素によるRIN-5F細胞障害もヒドロキシラジカル消去剤や2価鉄のキレート剤処置により抑制されることを見出した。したがって、本研究では、過酸化水素によるTRPM2活性化機構において、細胞内でのヒドロキシラジカル産生が重要であり、その作用部位が細胞内に存在していることを明らかにすることができた。
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