研究概要 |
1)びまん性大細胞型Bリンパ腫(DLBCL)では化学療法で高率に寛解が得られるものの,5年生存率は30-38%と予後不良の疾患である.予後の改善を日指し,初診時に患者を層別化して治療計画を立てることを考え,染色体異常が予後予測因子となるかどうかを検討した.対象は50例のDLBCLで,IGH/BCL6は7例,IGH/BCL2は4例,IGH/c-MYCは3例で認められた.IGH/BCL6陽性例はIPIスコアの高い傾向があった.IGH/BCL2陽性例は陰性例と比較して早期死亡は少なかったが最終的には全例死亡していた.IGH/c-MYC, IGH/BCL6陽性例の予後は非常に不良であった (2年生存率0%,40%).IGH/BCL6陽性あるいはIGH/c-MYC陽性DLBLの予後は陰性例に比較して予後が不良であることが判明したので、このような転座をもつ症例は初診時より強力な治療を行うことで予後を改善できる可能性があることが判明した. 2)MALTリンパ腫では,t(11;18)はすでに予後因子であることはすでに判明している.そこで組織FISH法をもちいて,13例のMALTリンパ腫について染色体異常を検討し,trisomy3が予後因子である可能性を示した. 3)IGH/BCL2とIGH/c-MYCをともにもつびまん性大細胞型Bリンパ腫症例に対し,FISH法により,IGH/BCL2が最初に起こり,続いてIGH/c-MYC転座が起こっていることを示すことが出来た.
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