研究概要 |
目的:NKT細胞の連続的活性化に伴い,免疫寛容現象が誘導される.しかしながら,その誘導機構の詳細は未だ明確にはなっていない.今回我々は,主にNKT細胞の活性化に伴うDCの機能変化に着目して検討を加えた. 1.α-GalGer(αGC)を腹腔内投与し,αGC投与前DC(DC^<GC0>),1回投与後DC(DC^<GC1>),連続投与後DC(DC^<GC3>)の機能変動をサイトカイン産生の側面から確認した.DC^<GC1>においては,IL-6,IL-12,IFN-γ,TNF-αの産生が亢進した.DC^<GC3>では前記サイトカインの産生亢進は認められなかった.一方DC^<GC1>では認められなかった抑制性サイトカインIL-10の産生亢進が認められた. 2.DC^<GC3>においては,ERK MAPKの強いリン酸化が認められた.また,ERKのリン酸化の抑制によりIL-10の産生量の亢進が消失した. 3.DNA microarray法を用い,DC^<GC3>に特異的に発現している遺伝子を探索した結果,DC^<GC3>において,転写因子Crip1の発現亢進が確認された.レトロウイルスによる遺伝子強制発現,RNAi法による遺伝子機能抑制を適用し,Crip1機能を確認した結果,強制発現・発現抑制のいずれによってもDC機能は変化せず,DC^<GC3>の機能発現にはCrip1は関係しないと推察された. 4.MOG peptide pulsed DC^<GC3>の細胞移入にてマウスを前処置することにより後に誘導する実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の症状を有意に低減することができた.これは細胞移入によりMOG peptide反応性regulatory T細胞の誘導によるものであることが確認された. 5.サイトカインKOマウスの使用,およびin vitroでのNKT・DC共培養の結果,NKT細胞の産生するIL-10がDC^<GC3>の誘導に重要であることが示唆された.
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