研究概要 |
1)マウス用MRI装置のコイル作製 マウスの頭部(大脳)MR画像を撮像するために、径22mmの新たなコイルを作製した。磁場の均一性と高い信号強度を得るために、円形コイルを2つ組み合わせた特殊な形態とし、動物用磁気共鳴装置(ブルカー社BIOSPEC BMT 24/40 2.4 tesla)を用いて撮像した。これにより野生型マウスの大脳皮質および白質の信号強度について、コントラスト良く撮像することに成功した。 2)shivererマウスの病理学的検討 shivererマウスのヘミ接合変異体(mbp+/-)を雄雌5対搬入し、matingの後、児を出産させた。生後4週の時点で、尾よりgenonmic DNAを抽出し、PCR法によりgenotypingを行った(mbp -/-,mbp +/-及び野生型に分ける。)生後7週の時点で、抗myelin basic protein(MBP)抗体、抗proteolipid protein(PLP)抗体による免疫染色とKluver-Barreara(KB)染色を用いて検討したが、ヒトのモデルである18番染色体長腕欠失(18q-)症候群と同様に、ヘミ接合変異体と野生型で有意な差異は認められなかった。 3)ヒト18番染色体長腕欠失(18q-)症候群の病理学的検討 ヒト18番染色体の長腕が欠失している環状18番染色体の剖検脳について、電子顕微鏡を用いて超微細構造について検討した。shivererマウスのヌル変異体(mbp -/-)のような周期線の形成障害はなく、周期間線と周期線が形成され、層状構造の髄鞘が認められた。 次年度は、shivererマウスのヘミ接合変異体(mbp +/-)ヌル変異体(mbp -/-)についてMRI撮像を行い、電子顕微鏡を用いた超微細構造の検討を行い、髄鞘形成障害に関して明らかにする予定である。
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