研究課題/領域番号 |
15790548
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 佐賀短期大学 (2005) 久留米大学 (2003-2004) |
研究代表者 |
平田 孝治 佐賀短期大学, くらし環境学科, 助教授 (50360293)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | ミトコンドリア / 神経伝達物質輸送 / 老化 / L-アルギニン / シナプトソーム / マウス / 呼吸鎖酵素活性 / Klotho / ミトコンドリア阻害剤 |
研究概要 |
[研究の目的]神経終末(シナプス)における神経伝達物質輸送等の活性においてミトコンドリア機能への依存度は高い。ミトコンドリア機能低下あるいはミトコンドリア病などの遺伝性疾患は、精神異常や運動発達遅延、痙攣や知能低下などを引き起こすものであり、MELAS症やParkinson症、さらには老化とも深い関係がある。核内遺伝子欠陥とミトコンドリア機能異常との関係は注目される。ミトコンドリア機能異常の共通要因のひとつに脳神経伝達物質輸送制御の異常が関係すると考えられる。本研究では老化モデル(Klotho遺伝子発現欠損マウス:Klothoマウス)と自然加齢モデルの実験動物を用い、脳神経終末(シナプトソーム)における神経伝達物質輸送活性および酸素消費、シナプトソーム内ミトコンドリア酸素消費と呼吸鎖酵素活性、組織学的解析を指標とし、Klothoマウス(Wild/Homo)と自然加齢マウス(Young/Old)による老化現象によるミトコンドリア機能について対照・比較から検討し病態解明を行った。また、MELAS患者の臨床治験薬として知られるL-アルギニンの、シナプトソーム内ミトコンドリア機能への影響を調べ、その効果を検討した。 [結果]腎臓と大脳に焦点を置き、生化学的・組織化学的解析を行った。Homo/Oldの老化状態では、腎ミトコンドリアの機能は低下しており、老化に伴う共通の機能障害と考えられたが、Homoで顕著であり、共通した腎不全を来す致死原因と考えられた。また大脳においてはHomo/Oldのミトコンドリア機能の低下が示された。しかしながら、いずれにおいても呼吸鎖酵素群活性と酸素消費の低下は若干異なる変動を示した。電顕組織学からは、小脳プルキニエ細胞の脱落がHomo/Oldの双方に確認された。一方大脳ではHomoにシナプス小胞の異常が確認され、明らかにOldの変化とは異なっていた。Homoの行動所見とミトンドリア機能異常からは神経伝達輸送に異常をきたすことが示唆された。また、L-アルギニンは、大脳シナプトソームの酸素消費を有意に増大させ、神経伝達物質(GlutamateおよびGABA)取込と放出を促進させることが明らかとなった。一方ではL-アルギニン投与後の臨床所見(劇的改善)から、L-アルギニンは血管拡張作用以外に、神経情報伝達物質輸送の制御にも効果があることが推測された。 [平成17年度生化学会大会発表][2005年American Society of Human Genetics(ASHG)発表][平成16年度生化学会大会発表][第4回ミトコンドリア研究会年会発表][2004年ASHG発表][第3回ミトコンドリア研究会年会発表][平成15年度第2回班会議(厚労省H14-小児-006)発表]以上の発表内容については現在(3報予定)論文を執筆中である。
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