研究概要 |
臍帯血NK細胞の機能に関する研究:Toll-ike receptor(TLR)は自然免疫において種々のPAMPsを認識し、サイトカインや副刺激分子等を誘導することで迅速な免疫応答に関与するレセプターである。NK細胞は自然免疫システムの重要なeffectorであることから、自然免疫においてTLRを介してPAMPsを直接認識し、生体防御に関与している可能性がある。特に獲得免疫能が未熟である胎児・新生児では初期の感染防御にTLRを介したNK細胞の関与が重要である可能性がある。方法として臍帯血および成人末梢血より単離したNK細胞(CD56^+ CD3^-細胞)cDNAのTLR2,3,4,7,9の各定量PCRとCD56陽性細胞上のTLR2とTLR9のフローサイトメーターによる発現解析を行った。臍帯血NK細胞では成人末梢血NK細胞と比べ、TLR2はmRNAおよびフローサイトで有意に高発現を示し、TLR3では逆に有意に低発現していた。 臍帯血赤芽球に関する研究:臍帯血細胞の特徴としてGPAおよびCD36陽性の有核赤血球が非常に多く含まれていることがある。その特徴や生理的な意義については不明であり、臍帯血有核赤血球にっいて、成人末梢血由来のPHA blastを対照として240遺伝子のcDNAマイクロアレイを行った。臍帯血赤血球系前駆細胞はマイクロビーズ法を用いてCD14^-CD41^-CD36^+細胞分画を単離し、単離細胞よりmRNAの抽出とRNAリニア増幅を行ったのち、Cy3またはCy5で蛍光標識したcDNAを合成し、240種類のサイトカイン・成長因子cDNA断片が固相化されたTaKaRa Human Cytokine CHIP上でハイブリダイゼーションし、各スポットの蛍光シグナルを検出し解析した。この中で細胞増殖に関連したInsulin-like growth factor II(IGF-II)およびアポトーシスに関連したBcl-2が特異的に高発現していた。この内、IGF-IIについてRT-PCRによる定量PCRでも有核赤血球で有意に高発現していた。
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