目的:肺癌の術前診断法として、白血球シンチグラフィーSPECTの有用性を明らかにする 方法:閉塞性肺炎を合併した肺癌症例(腫瘤の大きさは特に限定しない)に対し、インフォームドコンセントを得た後、以下の方法で画像解析を行った。 (1)薄層CTを施行した3日以内に白血球シンチグラフィーSPECTを施行する。 (2)白血球シンチグラフィーにて二次性肺炎に集積を見た場合、薄層CTと白血球シンチグラフィーSPECTを対応させて欠損像として認める腫瘍の進展範囲を術前に診断する。(慢性期の炎症の場合、二次性肺炎に集積を見ない可能性もある。) (3)手術症例については病理と対応させ、腫瘍の進展範囲と肺炎の範囲、シンチでの集積の範囲違いを比較する。肺炎に集積しなかった症例については、その理由について病理から考察する。 経過観察症例については、経時的変化をもとに腫瘍と肺炎の判定を行い、白血球シンチグラフィーの集積と比較検討する。 結果:2003年4月〜9月までに閉塞性肺炎を合併した肺癌症例2例(両者とも扁平上皮癌)を経験した。両者とも腫瘍は欠損像を呈した。二次性肺炎像に集積したものは1例、集積しなかったものは1例であった。集積した1例は、薄層CTにて以前のCTに比し急速な陰影拡大をみた症例で、拡大した陰影が典型的な肺炎像を呈さなかったため、腫瘍の急激な増大と二次性肺炎の合併との鑑別が困難な症例であった。白血球シンチグラフィーにて末梢の陰影に集積を認めたことから、肺炎の合併であると診断できた。集積しなかった1例は、他院より紹介された症例で、前医CTから当院CT撮影まで2ヶ月が経っており、当院でのCT撮影時点ですでに血液検査上も炎症反応、白血球増多とも認められず、無気肺となっていた。
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