研究概要 |
血管造影の手技により家兎の大腿動脈の内膜障害を人工的に起こし,高コレステロール食を与えた.これによりソフトプラークを形成し狭小化したと思われる大腿動脈をMDCTで撮像した.そのCT値を測定したところ約20HUであり,同部は病理的には十分に脂質が沈着し,ソフトプラークを形成していた.その他の線維性プラーク,石灰化プラークについては実験期間には作製困難であり,病理的な比較はできなかった.経験的に石灰化は約200〜400HUと高値であり,この鑑別は画像では十分に可能であった.狭窄病変については,実際に血管造影をした画像とMDCTからのCTAでは,末梢側の描出は後者ではやはりやや不良なものの狭窄率についても有意な差はなく評価できた.心筋動態ファントムにおいて,その表面に血管狭窄モデルとしてチューブをつけ撮影した.80bpm以上の高心拍,CTのガントリーに対し60度以上の角度において,動きによるartifactが強くなり,狭窄率は評価が難しくなった.心機能解析(駆出率)については,心周期の再構成分割数が8以上で,70bpm以下であれば,十分に評価可能であった.臨床例では検査前にβ-blockerを使用し,心拍を40〜90bpm程にコントロールしたが,ファントム同様に80bpm以上ではbanding artifactが目立った.冠動脈については約8割で主要分枝は描出可能であったが,seg4AV,4PD,8,10,14などの末梢側は径が細く,連続性が追えないことがあった.現在の16列MDCTの限界と思われる.ソフトプラークの描出については主要分枝についてはほぼ描出可能であり,その偏心性病変について冠動脈造影ではわかりにくいものもMDCTではその画像を回転させることにより十分に評価できた.
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