研究概要 |
本研究課題においては、1)real-time RT-PCR法を用いた胃癌のリンパ節、血液中への微小転移の検出法の確立、2)このデータを基に早期胃癌の生物学的悪性度を再評価すること、を目的とした。 過去2年間で以下の成果を挙げた。 1)OPTICON^<TM>を用いたreal-time RT-PCR法の解析で、CEAと新規11マーカー遺伝子を標的とした微量胃癌細胞の検出実験では、CEA, CK20, TFF1, FABP1, TFF2, MASPINの感度が高いことを示した。 2)血液中のreal-time RT-PCR法による微小転移検出法を確立した。 3)免疫組織染色法によるMMとITCの鑑別はreal-time RT-PCR法の定量値を用いても難しいことが判明した。免疫組織染色標本のコンピューター自動解析プログラムを試作した。 これらの成果を踏まえて最終の本年度は以下の成果を挙げた。 過去2年間に集積した早期胃癌症例79例の所属リンパ節と末梢血液を対象に、OPTICON^<TM>を用いたreal-time RT-PCR法によるCEA, CK20, TFF1, FABP1, TFF2, MASPINのmRNA定量的検出を行った。原発巣の大きさ・深達度別にリンパ節・血液中にPCR陽性となる頻度を調べた結果は、大きさ、深達度に相関して陽性検出の頻度が増すことが示された。組織型別の検討では分化度の違い(高分化・低分化)による陽性リンパ節・血液中陽性判定の差異を認めなかった。主目的であるpapillary carcinomaが少数例にとどまったため(3例)確たることは言えないが、3例中2例に陽性リンパ節、1例に血液中陽性判定を認めた。 得られた結果は東京大学大学院学位論文中に発表した。またその一部を臨床雑誌に共著の形で公表した。
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