研究課題
若手研究(B)
胚性幹細胞(embryonic stem cell, ES cell)から神経幹細胞を誘導することが可能になり、脳血管障害の治療においても胚性幹細胞由来神経細胞の移植が可能となってきた。本年度の研究は、マウス及びサルES細胞由来の神経細胞を脳虚血モデルおよびサルの脳に移植し生着を検討した。マウスES細胞をSDIA法で10日間分化させ、そこからneurosphereを作りマウス虚血脳に移植した。虚血モデルとしてはマウス中大脳動脈30分閉塞モデルを用いた。再潅流後24時間で外側線状体に細胞を移植し、14日後、28日後にその生着と分化を免疫組織学に検討した。移植後14日で移植細胞が占めた領域は18.8±2.5%/hemisphereであったのに対し移植後28日後には26.5±4.0%/hemisphereであった。更に移植後28日後の分化について検討した。様々なマーカーの移植したGFP陽性細胞の中での割合はNeuN 60.0±10.0%,TuJ1 40.0±10.0%,GFAP 22.0±7.2%,GalC 0.38±5.3%であった。更にThyrosine hydsrohylase 0.6±0.36%,GAD 33.3±11.5%,glutamate 13.3±5.8%,serotonin 0.5±0.44%,ChAT 0.4±0.2%であった。以上より、マウスES細胞由来神経幹細胞は虚血脳内で生着し、分化することが示された。また、カニクイサルES細胞由来神経幹細胞においても同様の実験を行った。カニクイサルES細胞をSDIA法で2週間分化させ、更にneurosphereとして培養し、カニクイサル脳に移植した。移植した細胞は移植後14週後の免疫組織学検討でTuJ1を発現しており、サルES細胞由来神経幹細胞もサル脳内で生着することが示された。
すべて 2005
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